世界では珍しい「生卵を食べる文化」のある日本ですが、「生卵は子供にいつからあげて良いの?」と迷いますよね。
生卵を食べられるようになれば、卵かけご飯やすき焼き、トロトロのオムレツなど料理のバリエーションも増えます。
そんな日本人の食文化には欠かせない生卵。
・何歳から食べられるのか
・生卵を食べる際の注意点など
をご紹介します。
生卵は何歳から?
ズバリ、この年齢!というふうに決めることができないというのが事実。
ですが、具体的に言えば3歳以上がおすすめ!
なぜ曖昧な年齢でしか言えないかというと、原因は生卵の危険性と子供の消化器官の発達に関係があります。
生卵の危険性
卵の危険性として、卵にはサルモネラ菌という細菌がついていることがあり、この菌が食中毒を起こします。
大人でも食中毒は死に至ることのある危険な症状ですが、体の小さい子供にはさらに危険にさらされてしまうのです。悲しいことに子供が食中毒で亡くなってしまう事故は過去にも発生しています。
また卵はアレルギーになりやすい食品で、小さい子供が食べてしまうとアレルギーを発症しやすく、重症化しやすいのです。
みなさんも身の回りに卵アレルギーの人っていませんでしたか?
即時食物アレルギーの年齢分布引用:https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/food-allergy/type/02/
この図にもあるように、年齢が低いほどアレルギーが発症しやすいということです。
また、現代、鶏卵によるアレルギーを発症している人は、アレルギー代表格の牛乳や小麦粉を抜いて最も多いと言われています。
新規発症の原因食物引用:https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/food-allergy/type/02/
それだけ卵のアレルギーには注意が必要であるということですね。
私自身、子供の離乳食で初めて卵をあげる際はドキドキしながらあげていた記憶があります。
子供の消化器官の発達
そして2つ目、子供の消化器官の発達についてですが、消化器官が未熟な子供が食べることで食中毒にかかりやすくなったり、アレルギーを発症しやすくなったりするということがあります。
個人差はあるものの、子供の消化器官が完成するのは10歳~12歳と言われているため、10歳頃になってから生卵を食べるように薦める医師もいるのです。
つまり、消化器官の発達が大人と同じような10歳くらいになれば生卵を食べてもほぼ安全なうえに、もし食中毒にかかっても重症化しづらいということになります。
一方で、厚生労働省の資料には2歳以下の乳幼児は生卵を避けるようにと明記されています。
2019年に厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」が一部変更されました。
- 改定前→卵黄(加熱)7~8カ月(中期)、 全卵 9~11カ月(後期)
- 改定後→卵黄(加熱)5~6カ月(初期)慣れたら初期から試す、全卵 7~8ヶ月離乳食(中期)
厚生労働省の資料によると、「2歳以下の乳幼児は生卵を避ける」ともあります。
なので、2歳までは生卵は食べさせずに、加熱してあげるようにしましょう。
生卵を食べる、すき焼きや卵かけご飯、半熟の目玉焼きなどには十分に注意しましょう。
3歳になれば消化器官は未熟ですが、免疫機能がしっかりとついてきます。
そのことから、3歳以上になれば生卵を食べられるという考え方があるのです。
つまり、子供が3歳以上になっていれば親の判断で食べさせて良いということになりますね。
実際、子供が10歳頃になるまで生卵を食べさせないというのはなかなかできないですし、実際マヨネーズなんかも生の卵を使用して作られています。
私個人の考えとしては3歳頃から子供が欲しがればあげる、くらいの気持ちで良いかな~なんて考えていますよ。
ただ、初めてあげる時は少量から始めるようにしましょう。
平均して3,4歳で始める方が多いような印象を受けましたね。
この時期に生卵を食べ始めなければいけませんという決まりはないので、子供が欲しがったらあげるくらいの気持ちで良いと思いますよ。
食中毒の原因、サルモネラ菌とは
卵の殻の表面にはサルモネラ菌という菌がついていることがあります。
このサルモネラ菌が悪さをして食中毒を起こします。
サルモネラ菌とは
サルモネラは、人をはじめ、牛や豚やにわとりなどの家畜の腸内、河川・下水など自然界に広く生息していている細菌。保菌しているネズミ・ハエ・ゴキブリや、犬・猫・カメなどの「ペット」からの感染にも注意が必要です。
このサルモネラ菌は10℃以下の環境ではほとんど増殖せず、加熱によって死滅する菌です。
また、食品衛生法によって日本の卵は殻を殺菌してから出荷されています。
実際、食品安全委員会の研究では、日本全国から集めた卵10万個のうち、汚染されていたのは3個だけという研究結果があります。
この研究結果から汚染の確率は0.0029%程度と推定されており、かなり低い割合となっているのです。
10万個のうち3個ですから、日本の殺菌技術ってすごいんだなと思いますね。
毎日卵を1個食べても10万個食べるのに約270年かかりますからほぼ安全です(笑)
ただ、10万個の中に3個の汚染された卵があったように、自分が買った卵にサルモネラ菌がついていない保証はありません。
厚生労働省の統計によると未だに卵や、マヨネーズなどの加工品を原因とした食中毒が発生しています。
とくにケーキなどのお菓子での感染が多く、お菓子を作った器具にサルモネラ菌が付着しそこから被害が拡大することもよくあるのです。
なので、生卵を食べる際はサルモネラ菌がいるかもしれないということを覚えておく必要があります。
厚生労働省資料からの引用
食中毒の症状
食中毒の原因であるサルモネラ菌についてご紹介してきました。そこで気になるのはもしサルモネラ菌にあたってしまった場合の症状ですよね。
症状としては4~48時間後に発症することが多いようです。
具体的な症状は腹痛、下痢、発熱、嘔吐などで、38~40℃の発熱になります。
そこから脱水症状になったりするので、子供やご年配の方は注意が必要です。
過去には重症で亡くなられた方もいるので十分に注意し、食中毒が疑われる場合は速やかに医療機関を受診してください。
自分が発症するならまだしも子供が発症していると、親としても辛いですよね。
もし子供が生卵を食べて上記のような症状が出たら、医師の方に食べたことを報告することを忘れないでくださいね。
アレルギーに注意する
子供の卵アレルギーは鶏卵が原因になっていることが多いです。
アレルギーの原因であるアレルゲンは卵黄よりも卵白に多く含まれています。
離乳食を卵黄から始めるのはアレルゲンの少ない卵黄から始めるという理由からです。
アレルギー症状は、蕁麻疹やかゆみ、呼吸が苦しくなったり、鼻水、鼻づまり、下痢、嘔吐、腹痛などがあり、重症化すると呼吸困難や最悪ショックなどで死に至ることもあります。
アレルギー症状が出るまでの時間は個人差がありますが、数分から数時間後といわれていますよ。
また卵アレルギーは加熱してあるか否かで、アレルギーの反応が出る人と出ない人がいます。
生や半熟の状態の卵はアレルギー反応が出やすく、しっかりと加熱してある卵では反応が出にくいのです。
甲殻類のアレルギーでも茹でたエビは大丈夫でも、刺身のエビは食べられないという人がいるのと同じですね。
身近なもので卵のアレルギー反応が出やすいものは、生卵やマヨネーズ、半熟のオムレツや目玉焼きなどがアレルギー症状の出やすい食品です。
また、卵アレルギーを持っている人の半数はウズラの卵にも反応すると言われているので、ウズラの卵にも注意が必要ですよ。
生卵を食べる際に気をつけること
生卵の危険性を説明してきましたが、必要以上に怖がることはありません。
以下のことに気をつけていればそうそうサルモネラ菌にあたることはありませんのでぜひ参考にしてみてください。
・冷蔵庫で保管している卵を使う
・ヒビが入っている卵は生で食べない
・割卵した卵は、室温下で放置しない
・水で洗わない
・賞味期限を確認する
・体調の悪い時は避ける
また、初めて生卵を食べさせる際は、病院の開いている日にあげるようにしましょう。
万が一、アレルギーや食中毒が起きたら大変ですので(汗)
冷蔵庫で保管している卵を使う
サルモネラ菌は10℃以下では増殖しにくいので購入した卵は、すぐに冷蔵庫へ入れるようにしましょう。
買い物から帰ってきたらすぐにしまう方がほとんどだと思いますが、夏場など暑い時期の買い物は特に注意してください。
ヒビが入っている卵は生で食べない
買い物をした時には割れていなくても、持って帰ってくる途中にヒビが入ってしまったりすることがありますよね。
ヒビが入ってしまうとそこから卵の品質が落ちてきてしまう上に、そこから殻の表面についているかもしれないサルモネラ菌が入り込んでしまうことがあります。
なのでヒビが入っている卵は、生で食べずにしっかり加熱して食べてるようにしてください。
割卵した卵は、室温下で放置しない
割った卵はすぐに食べるようにしてください。
卵黄と卵白を混ぜると細菌が増えやすくなるという報告があります。
生卵で食べるときは食べる直前に割るようにしましょう。
またしばらく放置した食べ残しを食べるのも同じ理由で危険です。
水で洗わない
サルモネラ菌が表面についているなら水で洗えば良いじゃん!と思うかもしれません。
しかし、卵の殻の表面には目に見えない小さな穴がたくさんあります。殻の中でひよこが生きられるのもその穴から呼吸をしているからです。
卵を洗うことでその穴から雑菌が中に入り込んでしまう可能性があるので水で洗わないようにしましょう。
汚れが気になるようであれば洗わずに拭き取るようにすることをおすすめします。
賞味期限を確認する
卵の中には殺菌酵素が含まれているため、細菌が増殖しにくいようになっています。
しかし時間が経過して鮮度が落ちてくるとその殺菌力も低下してきてしまうのです。
卵のパックに表示されている賞味期限は生食できる期限として表示されているので期限が過ぎてしまった卵は加熱して食べるようにしてくださいね。
生卵は新鮮な卵を食べるようにしましょう。
ちなみに私の実家では、卵を買ってきた日にしか卵かけご飯を食べられませんでした。
今思うと鮮度を気にしてのことだったのかななんて思います(笑)
体調の悪い時は避ける
体調の悪い時は体の免疫力が低下しているので、食中毒やアレルギーを発症しやすいです。
我が子も飲み物を誤飲しやすく、肺に炎症(軽い肺炎)を起こしやすいのですが医師の方に「そのような時は炎症が起きているところからアレルゲンが入ってしまいアレルギーになる可能性が高くなる」と教えていただきました。
ご年配の方や2歳以下の子供、妊娠中の方、体調の悪い方は生卵を避けたほうが良いでしょう。
・温かく食べる料理は、常に温かく、冷やして食べる料理は、常に冷たくしておきましょう。めやすは、温かい料理は、65℃以上、冷やして食べる料理は10℃以下です。
・十分に加熱しない卵料理は、調理が始まってから2時間以内に食べましょう。また、加熱調理を行った卵料理についても、なるべくはやく消費しましょう。
・老人、2歳以下の乳幼児、妊娠中の女性、免疫機能が低下している人等に対しては、生卵(うずらの卵を含む。)は避け、できる限り、十分加熱した卵料理を提供してください。
まとめ
生卵はいつから食べられるのか、食べる際の注意点などをご紹介してきましたがいかがでしたか?
お子さんが3歳以上で、生卵をあげるような機会があれば少量から生卵に挑戦してみても良いかもしれません。また初めて挑戦するときは病院の開いている時間にあげるようにしてくださいね。
そして卵を食べる時は食中毒とアレルギーに注意して、子供の体調の変化に気をつけておくようにしましょう。
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