だれにでも訪れる「魔の2歳児」。「イヤイヤ期」なんていう場合もありますよね。ともかく、なぜ、こんなに蹴ったり叩いたりするんだろう・・・と、困ってしまうおうちの方は少なくないと思います。
今回はそんな2歳児の「蹴る」「叩く」についてお伝えします。
2歳児が「蹴る」「叩く」のはなぜ?
2歳の脳の発達
2歳児が蹴ったり叩いたりするのには、脳の機能が関係しています。
2~3歳の時期は、脳の「前頭前野」という部分が未発達な状態です。
「前頭前野」は、衝動的な欲求を抑える機能の中枢で、その前頭前野が未発達であれば、欲求を抑えることがどうしてもできなくなります。
しかし、2~3歳では、自我が芽生えています。「あれをしてみたい」「これをしてみたい」という欲求です。
自我が芽生えているのに、欲求抑制はできない。
これが、激しいイヤイヤ行動となって現れているのです。
では、一体いつまでこのイヤイヤ行動は続くのでしょうか。
おうちの方にとっては、一刻も早くこの状態を抜け出したいですよね。
個人差はありますが、一般的に、脳の機能が育ってくると、イヤイヤ行動もおさまっていくとされています。
蹴ったり叩いたりする行動は許してはいけませんが、次第にそのような行動はなくなっていくでしょう。
叩く・蹴るきっかけがある
特に以下のような場合に、叩くことが多いのではないでしょうか。
・所有権をとられる
おもちゃを取られたり、自分のモノ、場所をとられるなど自分のモノと思っていたものが他人に取られたことで手が出てしまうことがあります。
たとえば、いつもママと座っている場所に座っていたら、パパが座りに来たので、叩いたり蹴ったりして「邪魔!」と、その場所からどけようとします。
また、おもちゃで遊んでいたら、別の子に取られた・大人に「おしまい」と言われ取られたなど、自分のものを取られた場合も叩いたりします。
つまり、’’自分だけのもの’’と思っていたものが、他人によって奪われてしまった場合に叩くことがあるのです。
・不機嫌
眠い・寝起き・空腹・体調が悪いなどの、不機嫌なときも叩くことがあります。
これは、大人でも不機嫌になることがありますよね。
「まだ眠いのに!」「お腹すいた!」「体調がよくない!」といった、元気じゃないときに叩きやすいです。
子供自身の不機嫌さをどこにぶつけて良いのか、わからない感じなのでしょう。
我が子も眠いとき、体調が悪い時は特に叩くことが増えます。
・思い通りにいかない
自分の思った通りにならないときにも、叩きます。
例えば、おもちゃを「貸して」と言ったのに、貸してくれなかった。
「お菓子をちょうだい」と言ったのに、もらえなかった。
など、自分の欲求が叶わなかった時にも、叩きます。
我が家も兄弟間で、おもちゃの貸し借りが思い通りにいかないと、ママの所に行ってママを叩き怒っています。
・言いたいことが伝わらない
自分の言いたいことがうまく伝わらない時も、思わず叩いてしまいます。
2歳になり、だいぶコミュニケーションをとれるようになったとはいえ、ちゃんと伝わらないこともあります。
そんなとき、「なんで伝わらないの!もう!」と思わず叩いていまいます。
・理由がわからない
何がきっかけかわからないこともあります。
いつもなら、怒らないのに怒ることがあります。
例えば、いつも読んでいる絵本を、いつものようにめくったら怒る。
いつものようにご飯を出したら、そうじゃないと怒る。
などがあります。
こういった場合、子供自身のこだわりがあったり、何か別にしたいことがあったり、大人には予想がつかないことが多いです。
また、泣きすぎたりして、子供自身がなんで怒っているのかわからないということもありますので、子供自身をよく観察しておくのが大切かもしれません。
「泣く」「噛む」「叩く」「蹴る」などは2歳にとって、自分の感情を表現する方法なので、仕方ないは仕方ないのですが、大人も痛いですし、お友達を叩いたりするのも心配ですよね。
そこで、対処法をご紹介していきます。
2歳児の「蹴る」「叩く」の対処法は?
蹴ったり叩いたりしたとき、どう対処したらいいのでしょうか。
まず大前提として、子供を叩き返すのはNGです。
叩いたらダメ、という意味で叩き返すというしつけもありますが、いくらしつけとはいえ矛盾しています。
子供からしたら、「なぜ自分は叩いたらダメなのに、大人はいいの?」という矛盾にぶつかってしまいますし、「叩くことで物事が解決するんだ」という間違った認識にもつながってしまいます。
叩くきっかけをなくす
まずは、子供が叩いたりしてしまうきっかけを知り、それに合った対処をしていきましょう。
・所有権をとられる
おもちゃの場合は、「順番ね」といった声かけや、別のおもちゃに興味を移してあげるなどが対処法としてあります。
場所の場合は、みんなの場所であることを伝え(ちゃんと伝わらないこともありますが)、叩くことでどけるのではなく、「お膝トントンしてどいて~って言ったらどくよ」など叩く・蹴る以外の方法があることを伝えてあげましょう。
・不機嫌
眠い場合は、寝かしてあげるか、朝だったらもっと楽しいこと(Eテレや朝ごはんなど)に興味を移す方法が良いでしょう。
空腹などの場合は、何か食べ物をあげるなどが良いですが、あげる際は「ご飯ちょうだいって言ってね」などの言葉で伝える大切さを教えてあげましょう。
・思い通りにいかない
おもちゃの貸し借りがうまくいかない、など思い通りにいかないことで叩く場合は、子供の気持ちを言葉にして、理解していることを伝えましょう。
「おもちゃ貸してくれなかったんだね」「どいてくれなかったんだね」「○○してほしかったんだね」と子供の思いを口に出して、共感してあげると落ち着くことが多いです。
・言いたいことが伝わらない
言いたいことが伝わらない、そんなときは子供が何を伝えたいのか、ゆっくり聞いてあげるのが良いです。
我が子も、何を言っているのかよくわからない宇宙語をたまに話すのですが、そんなときは「なにがしたいの?」「なにが欲しいの?」など大人が質問をします。
そうすることで、何を伝えたいのか理解することができます。(理解できないこともあります(笑))
・理由がわからない
子供自身わけがわからなくなって怒って叩く場合は、大人が何をしても怒ります(汗)
そんなときは、その場から離れるのが良いです。
2歳だと気持ちの切り替えも早いので、別のことに興味が移り、意外とケロッとしていることがありますよ。
【家族や友達別】 叩くときの対処法
基本的には、叩いたらダメということを伝えます。
ですが、相手によって、対処を変えることもあります。
「家族にする場合」と「他の子にする場合」とでは、対処がかわってきます。
それぞれの対処法について順番にお伝えしていきます。
【家族にする場合】
まずは、家族に「蹴る」「叩く」をしたときの対処です。
特に、親にする場合は「甘え」の表れです。
ですから、親を蹴ったり叩いたりする行動は、決して悪いことではありません。
パパやママなら受け止めてくれる、どんな自分も認めてほしいという気持ちの表れなのです。嫌いだから叩くのではなく、
「安心しているから叩く」のです。
おうちの方は、困ってしまいますが、これも大切な成長の一環と考えましょう。
この「甘え」を受け止めてあげることが、これから子どもが生きていく上でとても大切になっていきます。
たっぷりと甘えを受け止めてもらった子は、自己肯定感が高まり、自信につながっていきます。そして、人にもやさしくできる子になっていくでしょう。
もちろん、子どもは、理不尽なことを言うかもしれません。しかし、蹴ったり叩いたりするのには、何かきっかけがあるはずなので、感情を受け止めてあげるといいでしょう。
子どもが言っているとおりにならなくても、受け止めるだけでいいんです。
「そうだったんだね。これがイヤだったんだね。」
「そうかー。そうしたかったんだね。」
「うんうん。うまくいかないね。こまったね。」
などと、子どもの気持ちに寄り添い、代弁してあげましょう。
そのときは、できるだけ落ち着ける場所へ連れていくと、クールダウンが早いでしょう。
そして、スキンシップをとって、落ち着かせてあげましょう。
落ち着いたら、最後に、
「〇〇ちゃんの気持ちはわかったよ。でも、叩くのは(蹴るのは)痛いから、やめてね。」
と蹴ったり叩いたりするのは、「やめよう」ということは伝えましょう。
【他の子にする場合】
親以外の、下の弟や妹、お友達にする場合は対処が変わってきます。
もし、そういった場面に出くわしたときは、
「そんなことしたらだめ!」と頭ごなしに叱りたくなりますが、
これは、逆効果になってしまいます。
①相手には、おうちの方が謝ります。
②子どもを違う場所へ連れていきます。
③子どもの気持ちを受け止めてあげましょう。
「うんうん。怒れたね。イヤだったんだね。」と認めてあげます。
④そのうえで、「でもね、叩くのは(蹴るのは)いけないんだよ。」と伝えます。
子どもの行動に親が介入しない方がいいかな、なんて思ったりもしますが、
まだ、この時期の子どもが自分でコミニケションをとって謝ったりすることは
難易度が高い行動といえるでしょう。
おおよそ4歳以上になれば、
自分で謝ったり嫌だったということを伝えたりするなどのコミニケションがとれるようになってくるので、それまでは、おうちの方がサポートしてあげることの方が大切です。
家族にする場合も、他の子にする場合も共通して言えることは、
「気持ちは認め、行動は制限」
です。
イヤイヤ行動のわが子の気持ちを受け止め、しかし、やったことはいけないことだということを伝えましょう。
★イヤイヤ期対処法
蹴ったり叩いたりだけでなく、激しいイヤイヤをされると、どうしていいかわからず困ってしまいますよね。
言うことを聞かずに、暴れてしまうというイヤイヤ行動です。たとえば・・・
・遊んでごはんを食べない
・お風呂に入るのを嫌がるが、入ると出るのを嫌がる
・外出先でわがままを言って大騒ぎし、座り込んだり寝そべったりして泣きわめく
などです。
そんなときは、以下の3つの方法を試してみてください。
①状況を変える
この時期の子供は、言葉で言い聞かせても効果がないことが多いです。
力づくで言うことを聞かせようとすると、逆効果になってしまうなんてことも。
例えば、ごはんを食べてくれないときには、少し待ちます。
そして、「食べないならかたづけちゃうよ」と声をかけて、本当に片づけてしまいましょう。
大騒ぎしてしまうかもしれませんが、本当にお腹がすいたなら、食べるでしょうし、そしたら、後から出してあげればいいのです。
片づけてしまっているので、そのときは軽食を食べさせるというのもひとつの手です。
状況の変化で、何かしら変わってくる子もいるのです。
②他のことを誘う
イヤイヤ期のわがままは、目の前のことにこだわっていることが多いです。
つまり、もしかしたら本当はそれ自体をやりたいわけではないこともあるということです。
例えば、お風呂に入りたがらなかったら、
「お風呂に入ったら(出たら)、こんな楽しいことをしよう!」
という提案をするとよいです。
ちなみに、わが家では、夢中におもちゃで遊んでいたら、そのおもちゃとお風呂に入ることもあります。水に入れても大丈夫な素材でしたら、「そのおもちゃといっしょにお風呂入ろっか♪」と誘うと、ノリノリで入浴してくれます!
そのうち、「きょうは、どのおもちゃといっしょにおふろはいろうかな~」などと言って、お風呂が楽しみになってくれるときもありました◎
柔軟に対応するのもひとつのコツです。
③モノやお菓子などでつる
外出先など、どうしても困ったら、モノやお菓子でつるのもありです。
そんな手段を使うのは、わがままな子になってしまうのではないか、と心配になってしまいますよね。
しかし、イヤイヤ期の年齢では、目の前のことしか見えていない時期なので、少しくらい物でつってもわがままになるとは考えにくいと言われています。
ひとつの目安としては、4歳くらいになると、きちんと言い聞かせれば理解できるようになるそうです。
イヤイヤ期になると、誰がどうやって叱っても効果はあまりありません。
先にもお伝えしたように、欲求を抑える脳が育っていないからです。
もしかしたら、ダメだということは理解できているかもしれませんが、衝動を抑えることが難しい年齢なのです。
しかし、大切なことをきちんと伝えることは、大切にして続けていきましょう。
毎日イヤイヤしているだけのように見えて、子どもは、しっかりと成長しています。
「言っても無駄」なんて思ってしまうくらい大変ですが、「言い続けること」は大切なのです。
特に、公共の場のルールやマナー、生活に関わることは、しっかりと言い聞かせていくようにしましょう。
イヤイヤ期で、こちらもイヤイヤになり時には投げ出したくなるようなこともあるかもしれませんが、
「ダメなものはダメ」
という毅然とした態度を貫き通すことを子育てする側はわきまえておく必要はありそうです。そうすることで、いつしか子どもに伝わり、こちらの言うことを聞いてくれる日がきます。
子どもに過度に期待せず、根気よく続けていくようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか。
2歳児が「蹴る」「叩く」のはなぜ?対処法は?についてお伝えしました。
2~3歳の時期は、脳の「前頭前野」という部分が未発達な状態で、
自我が芽生えているのに、欲求抑制はできず、
これが、激しいイヤイヤ行動となって現れているということでした。
ですから、決して、おうちの方の育て方が悪いというわけではありません。
対処法は、家族にする場合と他の子にする場合とではそれぞれ違いがありました。
親などの家族にする場合は、
落ち着いた場所へ連れていき、スキンシップをとりながら、気持ちを受け止め、蹴ったり叩いたりするのはやめようと伝えます。
下の弟や妹、他の子にする場合は、
いったん、おうちの方が謝り、子どもを違う場所へ連れていき、気持ちを受け止めてあげます。そのうえで、蹴ったり叩いたりするのはやめようと伝えます。
「気持ちは認め、行動は制限」
でしたね。
どうしてもこの2~3歳という時期は、難しい時期ですが、4歳ごろには落ち着くので、それまでは、おうちの方も我慢して、根気よく続けていきましょう。
かならず、こちらの言うことがわかってくれる時期がやってきます。
子どもに寄り添って子育てをしていきたいですね。
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